大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)474号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(理由)

所論は本件の差戻後の審理の第一回公判において檢察官は起訴状の謄本に基いて訴因を朗読した後において差戻前の訴訟記録を取寄せて公判廷に顯出すべかりしに拘らず第一回公判期日前に訴訟記録が裁判官に読まれ証據が予知せられて裁判に対する予断が形成されて公平な裁判が期待し得ない状態に置かれたから訴訟手続に違法あると同時に憲法第三七條第一項の規定に反するというのである。しかしながら差戻後の第一審の審理は破棄された判決直前の訴訟段階において更に審理をやり直すのであつて即ち審理を更新するものと解する、審理の更新は檢察官の起訴状朗読以降の手続を反覆するのであるが更新前の訴訟行爲は口頭主義、直接審理主義を害する限度においてその効力を失うものであるから証據調の請求、証據決定の如きはその効力を失わないものというべく裁判所は敢えて差戻前の訴訟記録を取寄せて公判廷に顯出すべきものではなく差戻前の証據決定に基いて証據調を施行すれば足りるのである。されば所論のいう差戻後の第一審の第一回公判期日前に訴訟記録が裁判官に読まれ証據が予知せられて裁判に対する予断が形成されて公平な裁判が期待し得ない状態に置かれたとの非難は全く当らないものである。從つて原審訴訟手続は何等憲法第三七條第一項の規定に違反したものではない、また刑訴規則第二一七條が法律優位の原理に反する違憲規定であるとの所論については、同條は刑訴法が再度の第一審の審理手続について規定を置かなかつたのを補足する趣旨において設けられたものと解するのであるが本件原審訴訟手続において右規則が適用された形跡はないのであるからこれらに対する反断は省略するものである。論旨は理由がない。

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